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【なんてこった】論説委員・福島敏雄 自分のカラダも分カラン(産経新聞)

 分カラン分カラン分カランと書きつづけたが、まだ分カランものがあった。自分のカラダである。加齢による身体の衰えは了解済みだが、了解の範囲を超えて衰えてきたような気がする。

 20歳代の頃から、少々、酒を飲んでも、少々、タバコを吸っても、少々、風邪を引いても、体調を崩すことはめったになかった。30歳代のおわりに、ゼンソクと診断されて入院した。以来、ヤケになって、タバコの吸う量が増えてしまったのに、再発はしていない。

 50歳代になって、「γ(ガンマ)GTP」が毎年、増えていると診断されると、ますます酒量が増えてしまった。

 きっと、身体に対する虚無感が強いのであろう。難しい言い方をすれば、生身のカラダを「身体」というコトバによって抽象化、もしくは逃避させているのであろう。カラダという具体的存在には「死」があるが、身体という抽象的存在には「死」はない。

 精神医科学的にいうと、こういう思考方法は、ほとんどアルコール中毒にいたる廃人への道だそうだ。単純なもので、こんな意見を聞くと、虚無感そのものに虚無感を抱くようになる。

 というわけで、2カ月前から禁煙に踏み切った。もう2カ月間も、タバコという商品を一度も購入していない。購入していないのであって、周辺には喫煙家にめぐまれているという好環境もあり、1日に数本は吸っている。それでも1日に40本吸っていた頃に比べれば、体調は断然、良くなった。

 これは厳密に言えば、「禁タバコ購入」である。今秋にも、また値上げされるというのだから、この「禁タバコ購入者」は今後、増えていくはずである。そのためには周囲の喫煙者に対しては、人望をそこなわないよう、日々、丁重に接しなければならない。

 酒もやめた。酒歴はすでに40年にのぼるが、入院中と、ポリープ検査などの時以外、酒を飲まない日はなかった。「とりあえずビール」にはじまり、焼酎ロックを4杯、調子にのると5杯。とうとう医者に検査入院を勧められた。

 「入院するくらいなら、酒を止めます」

 とキッパリ言い切った。「ただし、毎日ではない!」と言い放ち、あとは質屋の値段交渉と似たようなものであった。

 「飲むのは4日に1日」と医者。

 「飲まないのは4日に1日」と筆者。丁々発止とやりあっているうちに当方も医者もアホらしくなり、

 「ま、じょじょに、ということですな」

 という結論に落ち着いた。いまでは週に2回は禁酒している。次の検査でデータが改善しなければ、「完全禁酒」を通告される。最近は飲む酒の味も、顔なじみの隣客が勧めるタバコも、どことなくまずくなった。なんてこった。

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